日本助産師会出版

乳信仰探訪

狩尾の産神社

江戸時代に建てられたという産神社
珍しい木製の乳型が奉納されている
この池の水を汲んでお粥を炊いて食べると乳が出ると言われた

阿蘇市街地の西にある狩尾地区は山裾に水田が広がる地帯。ここにある産神社の境内には、乳水が湧く大きな池があり、乳もらいのためにお参りする人が多かったと阿蘇町文化財保護委員会の現地案内板にある。
以前湧き水は社殿の両側にあり、数十年に一度(夏の土用三郎の日に)乳白色の水が湧いて乳水と呼ばれたこと、昭和35年(1960)の大旱魃以降湧水量が減少して乳白色の水は出なくなったこと、乳の祈願のために木製の乳型を奉納するという話が、ASO田園空間博物館事業で立てた現地案内板にある。熊本県観光振興課のサイトには、乳の祈願にはこの池の水を汲んでお粥を炊いて食べると紹介されている。
お堂の中には木製の乳型が多数奉納されているが、一般的に乳型は布製のものがほとんどで、他ではあまり見られない*ものである。
産神社は約200年前に細川家家臣の三渕永次郎が建立し、お乳の神さまである豊玉姫のほか12神を祀る。県指定無形文化財である虎舞が子どもたちによって奉納されることが、案内板にある。
なお乳の祈願が伝わっている産神社という名称の神社は、すべて熊本県内で、同じ阿蘇市内の坂梨地区に坂梨産神社が、菊池市に六坪産神社がある。

*木製乳型が残る場所:他には岡山県真庭市 茅部神社内の足王神社のほか、滋賀県大津市の荒痛薬師と千葉県印西市宗甫の馬頭観音堂には乳絵馬として奉納されている。

熊本県観光振興課サイト「もっともっとクマもっと」https://kumamoto.guide/spots/detail/11934
サイト「道の駅阿蘇」 https://www.aso-denku.jp/information/2019/11/安産祈願%E3%80%80産神社をご紹介!!/
写真:内岡 恵(2008/5/13)奥 起久子(2021/5/7)撮影

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樹木(イチョウ以外)その他現存せず奉納物(乳絵馬)奉納物(乳型)存在せず摩崖仏神社樹木(イチョウ)仏像寺院仏像(堂)岩石乳神など

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