上野薬師堂内の薬師如来像はヒノキの寄木造で、岐阜県の指定有形文化財。乳の出ない人は、さらしに綿を入れた乳房を供え、耳の悪い人はコウゾの木でキリの形を作りそれを供えて祈願すると、乳がよく出るようになり、耳の病は早く治るようになるとの情報が『ふるさと坂下』とWikipediaにある。中津川市サイトの「やさか知っ得ガイド」にも乳と耳のご利益について紹介されている。
明治までは、ここに薬師如来を本尊とする藥王山東光寺があったが、廃仏毀釈で取り壊された。仏像は村人が秘匿して難を免れ、神社の建立が許可されると附属の薬師堂が大正13年(1924)*に再建された。当初は許可が降りなかったのだが、薬師如来と同じ薬の神である少彦名命を祀る茨城県大洗町 大洗磯前神社の分社としてなら可との決裁があって再建されたという経緯が『坂下町史』にある。
鳥居をくぐって石段を登った正面が立派な薬師堂で、地域の方々によってきちんと管理されている。大洗磯前神社は薬師堂の脇にあって簡素な造りである。
薬師堂内には折り鶴が下がっているが、乳型は残っていない。また境内には市指定の天然記念物という大銀杏があるが、乳の祈願に関する情報はない(2026年6月訪問)。
*坂下地区郷土文化財保存会からの情報提供で、明治と記載された資料があるが間違いとのこと
鎌田宮雄:ふるさと坂下、自家出版(坂下公民館蔵)、1984年、p136〜139
坂下町史編纂委員会 編:坂下町史、1963年、p331~332
Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/大洗磯前神社_(中津川市)
やさか知っ得ガイド https://www.city.nakatsugawa.lg.jp/material/files/group/18/20009538.pdf
写真:今井永子氏提供(岐阜市在住看護師、2026/6/3撮影)
情報提供:間宮 亨氏(坂下地区郷土文化財保存会)



