桐木(きりのき)の乳薬師堂には、前にある橋の材木を切り取って煎じて飲むと乳が出るというので、遠く高岡市や新湊市からも乳の祈願でお参りに来たという話が『福野町史』『伝説とやま』『中部の民間療法』にある。
『東石黒郷土史』によると、薬師といわれているが十一面観音とのことである。昔は飢饉で子どもがたくさん死んだので作られたものという。村では橋が削り取られるので、補修に困ったという話が書かれている。
確かにこの石の仏さま、よく見ると頭がたくさんある。昔はもう少し大きなお堂があって、すぐそばに川があって橋がかかっていたのだろう。今は一面畑地の中のハウスのそばの農道脇に小さな石の祠がポツンとあるだけで、周囲に川も橋も見当たらない。
乳の祈願のため橋(の欄干)を削り取ったという情報は珍しいが、他には愛知県豊田市和合町にある朝日橋にも伝わっている。
福野町史編纂委員会:福野町史、福野町役場、1964年、p621 https://dl.ndl.go.jp/pid/2991896/1/335
同上書、p623 https://dl.ndl.go.jp/pid/2991896/1/336
同上書、 p628 https://dl.ndl.go.jp/pid/2991896/1/339
『伝説とやま』北日本放送、北日本放送、1971年、p70 https://dl.ndl.go.jp/pid/12467733/1/40
杉原丈夫:中部の民間療法、明玄書房、1976年、p132 https://dl.ndl.go.jp/pid/12169789/1/70
東石黒郷土史編纂委員会:『東石黒郷土史』、東石黒郷土史編纂委員会、2019年、p145
写真:南砺市提供
情報提供:南砺市ブランド戦略部 文化・世界遺産課


