本誓寺(ほんせいじ)は住宅地の中の一軒家のようなたたずまいの寺院で、ここにお参りしてお米を供えて読経してもらい、その米をお粥にして食べるとよく乳が出るといわれて祈願する人が多かった、と『越中伝説集』にある。お礼参りとして、藁で作った乳房形のものを2個細い縄の先につないで本堂の横に立つ木の枝につるすため、枝が折れそうだったとある。『富山の伝説』『伝説とやま』『越中の街道と石仏』にも藁製の乳型の話が記載されている。
現地案内板には『新庄町史』からの抜き書きが記載されている。この椋の木は寛永の頃に不遇の死を遂げた女性が埋められた場所で、訪ねてきた両親が夢で弁才天の姿をした娘に出会い、乳の出に悩む人を救いたいという娘の言葉に従ってこの場所に草庵を建て、椋の木に宿る弁才天と観音像を祀ったとある。
ケヤキではないかとサイト「人里の巨木たち」で指摘されている椋の木は、樹高15m*、目通り幹周5.3m*、推定樹齢500年*という巨木だったが、令和3年(2021)に伐採されて切り株だけになってしまった。案内板と2つの祠(弁才天と聖観音)が残っており、お花が供えられている。 *泉治夫他:とやまの巨木探訪、桂書房、2005年による
新庄自治振興会:新庄町史、富山市役所、1943年、p125〜127
小柴直矩:越中伝説集(富山県郷土史会叢書4)、1959年、p68〜69
北日本放送:伝説とやま、北日本放送、1971年、p54 https://dl.ndl.go.jp/pid/12467733/1/32
辺見じゅん、大島弘志他:富山の伝説 日本の伝説24、角川書店、1977年、p20〜21
塩 照夫:越中の街道と石仏:富山の歴史、北国出版社、1983年、p269〜270 https://dl.ndl.go.jp/pid/12874551/1/137
サイト「人里の巨木たち」 http://www.hitozato-kyoboku.com/honseiji-keyaki.html
写真:内岡 恵撮影(2022/12/5)、石田 徹氏提供(サイト「人里の巨木たち」管理者)



