真成寺(しんじょうじ)は安産祈願で有名な寺院だが、乳授け、子授けのご利益が伝えられており、「乳もらいの鬼子母神」と呼ばれて広く信仰されたという話が以前の真成寺公式サイトにあった(サイト更新後なくなっている)。
『日本産育習俗資料集成』には、次のような記載がある。乳袋(チチブクロ)と書かれた白米3合が入った白布の袋をお寺からもらってきて、7日間お粥にして朝食前に食べるとよいといわれる。1年間で200名ほどに乳袋が授けられていたとのこと。また子どもが亡くなって乳の処分に困る場合は、ここに「乳袋を返す」祈願が行われたとある。乳預けの祈願である。現在乳袋は授与されていないそうだが、2022年10月訪問時に探してもらったところ以前使用していたものが見つかった。
この鬼子母神は、昔小松城主だった丹羽長重が尊崇して城中に安置していたもので、加賀藩3代藩主前田利常も深く信仰し、万治2年(1659)に金沢市内に移されたと伝えられる(『稿本金沢市史 寺社編』)。
真成寺は山号を玉蓮山という日蓮宗の寺院。泉 鏡花の思い出のお寺であり、鏡花が「皆が鬼子母神さまのお乳だつっていって、門の釘がくしの鉄のふっくらとした円いものの付いた頭を、戯れに吸ひ吸ひした」と書いている。
祈願の際に奉納された赤ちゃんや子どもに関する着物や人形、千羽鶴などの品々は産育信仰資料として国の重要有形民俗文化財指定。
恩賜財団母子愛育会編:日本産育習俗資料集成、第一法規出版、1975年、p342 https://dl.ndl.go.jp/pid/12166792/1/175
ブログ「金沢・浅野川左岸そぞろ歩き」 https://ameblo.jp/kanazawa-saihakken/entry-11181308132.html
写真:内岡 恵撮影(2022/10/21)、粟野雅代氏提供(金沢市在住、助産師、IBCLC)



