金沢市街から海に向かった町外れに児安神社がある。周辺はすっかり住宅地になり、そこだけが緑の木立に囲まれている。安産や子育てに霊験あらたかな神社として加賀藩主前田家から信仰され、その境内の乳母嶽神社はとくに授乳のご利益を司るとの情報が石川県神社庁サイトにある。
それによると、大樋(おおひ)に住んでいた吉田という人物の夢枕に、新潟にあるお乳の神様を児安神社に祀るようにというお告げがあり、現在の新潟県上越市茶屋ヶ原にある乳母嶽神社から分霊されて明治17年(1884)に建立されたという。
境内社ながら鳥居や灯籠があり、拝殿前には立派な狛犬が配置されている。境内の「子授石」のそばの案内板には、撫でることで子どもと乳を授かるご利益があり、「つぐら*」を奉納すると記載されている。『加能民俗』には、以前は椿の枝に稾(わら)で作った2個の乳型をぶら下げていたが、最近見られなくなった、との記載がある。 *稾で編んだ容器
児安神社は養老7年(723)の創立と伝えられ、最初は農地開発のための大堰堤の守り神として大堰宮と称した。これが町名の語源だそうであるが、資料は残っておらず詳細は不明とのこと。江戸時代には神仏混交で、真言宗の僧侶が滞在して本地観音像を安置し子安観音と呼ばれ、加賀藩主前田利常が前田家に伝わる安産神符秘法を奉納して広く信仰されるようになったという。
加能民俗の会:加能民俗、国書刊行会、1983年、p405〜406
石川県神社庁サイト https://www.ishikawa-jinjacho.or.jp/shrine/j0257/
金沢徒然日記 https://ameblo.jp/yanahimenomikoto/entry-12443888501.html
写真:内岡 恵撮影(2022/10/21)


