町の用水の水源である「本願清水(ほんがんしょうず)」の東の道端に、2体の地蔵を納めた祠が2つ並んでいる。これについて以下のような記事が大野市のサイト、『越前若狭の伝説』『中部の民間療法』『若狭・越前の伝説』『大野市史』『特別展「水の民俗」解説図録』にある。この地蔵は「乳地蔵」「乳出し地蔵」といわれ、昔から乳が出るように祈願された。その際乳房に見立てた三角形の白い布袋に米1合を入れ、7日間本願清水の冷水に浸してお参りし、その米でお粥を焚いて食べる、お礼には乳の形をした米袋を供えるという風習があり、今も白い袋が5、6個、祠にぶら下がっているとある。お堂の中に天保3年(1832)と刻まれた「南無阿弥陀仏」「南無妙法蓮華経」と彫られた石碑もある。
4月の篠座(しのくら)神社祭礼前の土・日に、町内で行っている地蔵堂の清掃と祈祷は、「明倫町1区による乳地蔵のご祈祷」として市の「おおの遺産」に認証されている。
本願清水は越前大野城を築いた金森長近が430年前に町用水の水源として整備したという。飲料水、生活用水、防火用水として利用され、「平成の名水百選」に選定されている。またここは日本でも数カ所しかないといわれる陸封型イトヨ生息地の南限で、国の天然記念物に指定されており、町名にもなっている。
杉原丈夫編:越前若狭の伝説、松見文庫、1970年、p266 https://dl.ndl.go.jp/pid/12467707/1/148
杉原丈夫ほか:中部の民間療法、明玄書房、1976年、p31 https://dl.ndl.go.jp/pid/12169789/1/19
駒 俊郎、花岡大学:若狭・越前の伝説 日本の伝説46、角川書店、1980年、p81
大野市史編さん委員会:大野市史 第8巻 地区編、1991年、p103〜104
大野市歴史民俗資料館:特別展「水の民俗」解説図録、1996年、p13
大野市公式サイト「おおの遺産」 https://www.city.ono.fukui.jp/kosodate/bunka-rekishi/onoisan/onoisanlist.html
大野市公式サイト「越前大野の湧水」 https://www.city.ono.fukui.jp/kurashi/kankyo-sumai/mizujunkan/chikasui/groundwater_use.files/ononoyuusui.pdf
写真:内岡 恵撮影(2022/12/13)


