日本助産師会出版

乳信仰探訪

鯛生の地蔵さまの銀杏

道路沿いのこのイチョウは伐採された元の木が芽吹いて成長したものだという
行方不明となってしまったお地蔵さまの代わりに、近年奉納されたお地蔵さまとのこと

合瀬地区は日田市の中心からかなり離れた山間部。有名な鯛生金山の近くで、金山入口から少し上ったところにある集落の道路脇(合瀬3498付近)にイチョウがある。『中津江村誌』に「鯛生では地蔵様の銀杏に(乳の祈願に)お参りし、願成就には甘酒を供えた」との記載がある。
地元にお住まいの男性(70歳)のお話によると、乳の祈願の話は聞いて知っている、小学生の頃に見た木からはチチが垂れていましたよ、とのこと。現在チチは見当たらない。別の話ではイチョウは道路工事の際に伐採され、その一部を神棚に保管したが、芽が出たため元の位置に植えたところ大きく育ったものという情報を得た(2023年)。道路脇をはじめ周囲には数本のイチョウがあるが、祈願されたイチョウの場所にあるのは3本の株立ちの雌木で、目通り幹周はそれぞれ2.5m*、0.9m*、1.2m*と大きくないので、やはり2代目だろうか。
村史にあるお地蔵さまは管理人がいなくなって現状不明。イチョウの根本には小さいお地蔵さまがあるが、近年奉納された以前とは別のものとのこと。
*取材時実測

中津江村:中津江村誌、1989、p598
写真:奥 起久子撮影(2023/11/7)
情報提供:日田市役所中津江振興局

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樹木(イチョウ以外)その他現存せず奉納物(乳絵馬)奉納物(乳型)存在せず摩崖仏神社樹木(イチョウ)仏像寺院仏像(堂)岩石乳神など

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