日本助産師会出版

乳信仰探訪

浅間神社境内、本堂の向かって左奥に少し見えているのが浦田観音のお堂
木造の小さい観音様がお祀りされ、傍に奉納された乳型が見える
壁にはもっと多くの乳型や乳型絵馬が奉納されている

島原の乱の舞台である原城の三の丸跡のはずれにある浅間神社、その境内に祀られている浦田観音には乳の祈願の伝承が伝わっている。
キリシタン大名である有馬晴信(1567-1612)に男児が生まれたとき、乳母の乳が不足した。家臣の山崎飛騨守が観音菩薩の祠を建てて祈願したところ乳が出るようになり、霊験著しいとのことで遠くからも人々が参拝した。島原の乱の際に破壊されたが、寛永16年(1639)に住民により再建され、以来安産・乳出の神として信仰が厚いという話が『南有馬町郷土史』にある。
南有馬町教育委員会の立てた現地案内板にも、同様の内容が記載されており、堂内には壁や祭壇に乳の祈願で奉納された立体乳型絵馬が残されている。
元治元年(1864)の廃仏毀釈の際に、木花咲耶姫、大山祗が祀られて浅間神社本殿となった。本殿に向かって左の小さいお堂が浦田観音堂で、島原半島観世音三十三霊場の18番霊場になっている。
また神社へ向かう石段下の横には、島原の乱の時に鎮圧のために幕府軍が日向の金堀坑夫に掘らせた甬道(ようどう)跡が史跡として残っている。

南有馬町教育委員会:南有馬町郷土史、南有馬町、1969、p50〜51
南島原市観光振興課サイトhttps://www.japan47go.travel/ja/detail/ebb6d034-e9a9-4897-a463-46bd037c50c7
写真:奥 起久子(2022/5/6撮影)、福田雅文氏提供(長崎市在住・小児科医)(2023/4/23撮影)
資料提供:南島原市教育委員会

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樹木(イチョウ以外)その他現存せず奉納物(乳絵馬)奉納物(乳型)存在せず摩崖仏神社樹木(イチョウ)仏像寺院仏像(堂)岩石乳神など

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