慈明院の本堂に祀られている聖観音は、乳の祈願で有名だった。明治時代の『岐阜県美濃名誉図誌』に、「当寺ニ安置スル正(ママ)観世音菩薩ハ聖徳太子ノ御作佛ニテ霊験顕著ナリ殊ニ乳ニ乏シキ婦人ニシテ祈誓スルモノハ乳ヲ与エ玉フガ故ニ子育テノ観音ト云ヒ参詣常ニ多ク誠ニ不思議ノ霊像ナリ」とある。
平安時代後期のものとされ、宝冠に鳥居が付いている珍しい造作、市の文化財に指定されている。
慈明院は山号を神宮山という天台宗の寺院で、ご本尊は阿弥陀如来。山県市郊外の田畑が広がる地区の山の麓にある。山門を入った正面が本堂で、鉄筋コンクリート造りの耐火建築になっている。
寺院関係者からの情報では、『岐阜県美濃名誉図誌』が書かれた頃は乳の観音として栄えたが、乳の祈願についてはここにある以上の情報はない。現在は子どもを守る「子安観音」として信奉されており、子どもの健やかな成長を願うために、花祭り(5/5)、提灯祭り(8/18)、地蔵盆(8/23)が多くの子どもが参加して毎年摂り行われるとのこと(2026年9月今井氏訪問)。
渡邊市太郎:岐阜県美濃名誉図誌、光彰館事務所、1895年
https://dl.ndl.go.jp/pid/762865/1/78
写真:今井永子氏提供(2026/9/15撮影)



