乳信仰探訪

稲舟のいりこ地蔵(歌波の地蔵堂)

海のすぐそばにあり、波の音が地蔵の霊験を歌物語で伝えたと書かれている
昔は頭からいり粉をかけるので真っ白になっていたそうだ

乳を授ける地蔵と言われ、海の近く稲舟の国道249号線沿いの住宅の脇にある。いりこ(麦の粉)を供えて祈願するので「いりこ地蔵」と呼ばれ、頭からいり粉をかけるので真っ白になっていたとのことである。小さな祠の中に新旧二体が納められていて、「風化が甚だしいものが昔からのもの」という情報が『輪島市史』にある。
同じ『輪島市史』p677には、「歌波の地蔵堂」といわれるお堂の話がある。磯に寄せる波の音がこの地蔵の霊験を歌物語で伝えたということである。諸病治癒のご利益があるが、ことに乳のでない母は乳を授かるといわれて熱心に信仰されたようだ。最澄大師作の厄除け本尊とも、人丸明神の像石ともいわれると記載されている。輪島市教育委員会からの情報では同じものとのこと。
『輪島の民話』には、お参り時に他人と話をすると効果がなくなるので丑三つ時にお参りするという話、21日間が願掛けの日数などという決まりを守ってお参りする話、稲舟と石井という集落の間にこの地蔵を取り合って諍いがあったという話がある。霊験あらたかとして遠近問わず参詣者が後を絶たなかったという。
平成4年(1992)に新しく作り替えられた祠は令和6年(2024)の地震で倒壊。Google地図を辿っていくと、倒壊した祠の石を積み重ねた中に、無事だった地蔵が1体だけ立っている写真が確認できる(所在地クリックで確認可能)。

輪島市史編纂専門委員会:輪島市史7巻 通史・民俗編、1976年、p677、p681〜682
https://dl.ndl.go.jp/pid/9536984/1/358 https://dl.ndl.go.jp/pid/9536984/1/360
石川県輪島市教育委員会:輪島の民話、2004、p75〜78
写真と資料提供:輪島市教育委員会(2021/10/3撮影)

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