乳信仰探訪

最近まで水が出ており、地元で「乳もらいの水」と呼ばれていた霊泉
乳の神と呼ばれていたという「二宮神社」の合祀先の日野神社
「二の宮」があったのはこちらの観音堂の側だったようだ

越前市と南条郡にまたがる日野山は越前富士といわれて古くから信仰を集めた山である。この山頂にある(日野山)日野権現の下宮(二の宮)として置かれていた「二宮神社」は、乳の神と呼ばれていたという。「俗に比賣神(姫神)云ひて産婦乳汁の不足なるとき此神に祈願すれば霊験あり、又境内に霊泉あり此水を飲むときは乳汁の験ありとて信仰するもの多し」と『今立郡神社誌』にあり、『越前若狭の伝説』にも引用されている。この二宮神社は明治41年(1908)に、荒谷の日野神社に合祀された。
日野神社の下にある集落のそばには、享保6年(1721)の『鯖江藩寺社改帳』に「氏神観音堂」と書かれている観音堂がある。明治12年(1879)の『神社明細帳』には、ここが「二の宮」と記されているらしい(ブログ「越前ものがたり! 歴史の散歩道!」)。観音堂には日野山の本地仏である立派な聖観音像が祀られており、12世紀のものとのことで県指定文化財。
霊泉の場所は日野神社の境内ではなく、観音堂の近く、集落からの道の左である。石積みと祠が残っている。集落の女性(86歳)からの情報では、以前は水が湧き出て「乳もらいの水」と呼ばれていたが、近年の高速道路の工事の後、水が枯れてしまったとのこと(2024年9月訪問)。

杉原丈夫ほか:中部の民間療法、明玄書房、1976年、p27 https://dl.ndl.go.jp/pid/12169789/1/17
福井県神職会今立郡支部、今立郡神社誌、1978年(復刻版)、p56〜59
杉原丈夫:越前若狭の伝説、松見文庫、1970年、p407 https://dl.ndl.go.jp/pid/12467707/1/218
ブログ「越前ものがたり! 歴史の散歩道!」 http://hanamaru33.sblo.jp/article/99283378.html
写真:奥 起久子撮影(2024/9/9)

カテゴリー

内容

県名検索