乳信仰探訪

長い石段を登ると奥院に到達する
手作りの乳型で新しそうなものもある
安産祈願の際に手渡しているという乳が出る洗い米

落ち着いた山の中のお寺という雰囲気の正高寺。ここの奥院に安置されている子安観音は、安産・子授けの観音として知られている。安産・子授け・乳授けの願いが叶ったら「乳房型のぬいぐるみを奉納」という風習が伝えられているとのことで、本堂の扉には乳型のぬいぐるみが下げられている。
前住職夫人(86歳)からの情報によると、7〜8年前までは乳の祈願に来る人がいたとのこと。また現在も安産祈願に訪れると、安産守護符と陣痛が始まったら飲むお札と一緒に、洗い米の紙包みが手渡される。この洗い米を毎朝3粒ずつ炊き込んで食べると乳が出るということでお勧めしていますとのこと(2026年5月訪問)。
『中部の民間療法』では、安産・子授けの霊験が顕著で、お礼に乳首のぬいぐるみを奉納するという記載になっており、味真野観光協会が立てた現地案内板の記載も、安産・子授けのみである。
子安観音は如意輪観音菩薩で市指定文化財。全身に金泥・切金・彩色が施され南北朝時代の作と考えられている(平成26年指定:現地案内板)。お寺に伝わる「如意輪観世音菩薩略縁起」には、欽明天皇がここにお寺を建立した際安置したとあるとのことで、味真野観光協会の現地案内板にはそれを引いて、インドで作成された如意輪観世音菩薩で中国を経て日本に伝わったものとの記載がある。
正高寺は山号を福聚山という。元は真言密教の寺院で、慶長11年(1606)に盛誉上人によって再興され浄土宗となったという古い歴史を持つ。

杉原丈夫:越前若狭の伝説、松見文庫、1970年、p535 https://dl.ndl.go.jp/pid/12467707/1/282
杉原丈夫ほか:中部の民間療法、明玄書房、1976年、p28 https://dl.ndl.go.jp/pid/12169789/1/18
サイト「戌の日の安産祈願」https://inunohi.com/anzan-kigan/tyubu/fukui/koyasu-kannon/
ブログ「福井県 大好き!!」http://nipponn-daisuki.seesaa.net/article/84242668.html
写真:奥 起久子撮影(2026/5/16)

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