乳花薬師は「おっぱい寺」とも呼ばれる。乳型の縫いぐるみを奉納するとよいと言われていること、乳を授けるだけでなく乳預けの信仰もあったという話が名古屋市教育委員会の現地案内板と『中部の民間療法』にある。後者には乳が張って困る場合に乳を預かってくれる場所はここだけと書かれている。多くの乳房を描いた絵馬や乳房をかたどった乳型が奉納されている。
テレビ「まんが日本むかしばなし(No.1457)」で「乳の薬師さま」として民話が放映された。愛知郡の村に住むおさよが、亡くなった姉夫婦の赤ん坊を引き取り、いくつも峠を越えて名古屋の東光寺に21日間通って願掛けをしたところ乳が授けられたという物語である。
東光寺は明治の廃仏毀釈の際に廃寺になり、薬師如来は難を逃れて海上寺に移されたのだそうだ。
海上寺の山号は龍王山で真言宗の寺院。寛永16年(1639)開山という歴史のあるお寺である。海上寺には2体の薬師如来があり、本堂に弘法大師の作と伝えられる本尊の薬師如来が、本堂左の客殿に乳花薬師が祀られている。本尊の薬師如来は、粟(あわ)を供えて祈願する風習から「粟薬師」とも呼ばれると海上寺公式サイトにある。
杉原丈夫ほか:中部の民間療法、明玄書房、1976年、p338 https://dl.ndl.go.jp/pid/12169789/1/173
中日新聞記事2021年5月16日あいちの民話を訪ねて(36)https://www.chunichi.co.jp/article/254517
まんが日本むかしばなし(動画) https://www.dailymotion.com/video/x4rxr7f
データベース http://nihon.syoukoukai.com/modules/stories/index.php?lid=1457
写真:内岡 恵撮影(2005/10/27)


