唯願寺境内にカヤの大木があり、この実を食べると乳の出が良くなるという伝承があることが大垣市が立てた天然記念物指定時の現地案内板、『わたしたちの岐阜県の伝説』『美濃・飛騨の伝説』など複数の資料にある。
庫裡の裏庭に立っており、樹高18m*、目通り幹周3.7m*、樹齢数百年*とある。実の大きさは縦2.4cm、幅1.2cm程度で、渋皮が実の方につかないで殻の方へ付着するという普通にはみられない特徴を持っていて、シブナシガヤという。
この木には、正体を見られたために子どもを残して琵琶湖へ帰っていった大蛇の化身という母親の伝説が伝わっている。母親が植えていったシブナシガヤの実を食べて、子どもはすくすくと成長したという。境内には母親が飛び込んだ琵琶湖に通じているといわれる井戸がある。この子どもは明覚という僧侶となり、織田信長が長島を攻めた時に門徒と共に勇敢に戦ったと伝えられている(『新修 上石津町史』)。
唯願寺は山号を干霄山という浄土真宗大谷派の寺院。開創は1200年前、藤原秀郷の曾孫にあたる浄金による天台宗のお寺に始まると伝えられている。その後、蓮如上人に帰依して浄土真宗となっている。*大垣市が天然記念物指定時に立てた現地案内板による
後藤時男:わたしたちの岐阜県の伝説、大衆書房、1972年、p28〜30 https://dl.ndl.go.jp/pid/12929596/1/23
長倉三朗、早船ちよ:美濃・飛騨の伝説 日本の伝説34、角川書店、1979年、p36〜37
堀 武義:岐阜県の天然記念物(上)、教育出版文化協会、1981年、p82〜84
上石津町教育委員会:上石津町ふる里噺、上石津町教育委員会1983年、p11〜13
岐阜県教育委員会:岐阜県文化財図録(1)、1997年、p229
上石津町教育委員会:新修 上石津町史、2004年、p626〜627、p700〜702
岐阜県公式サイト文化財ページ https://www.pref.gifu.lg.jp/page/4831.html
写真:奥 起久子撮影(2023/3/21)



