大変山深い地区である坂内川上集落の用水の山側に、乳もらい地蔵と呼ばれるお地蔵さまが立っていた。むかし男の子を出産した母親がこの地蔵にすがって祈ったところ、乳がよく出るようになり男の子はみるみる成長した。それ以来村の人たちはこの地蔵を「乳もらい地蔵」と名付けて崇敬した。
以前は沢崎清四郎爺という地蔵守りの老人がいて、白米とろうそくとお線香を持って頼みにいくと祈願してくれたという。坂内村内はいうまでもなく、遠く岐阜・大垣や更には名古屋あたりからも依頼があり、郵便で依頼してくる人もいたという話が『坂内村誌』にある。
『坂内村誌』には、この地蔵は「乳あずかり地蔵」でもあり、乳が出過ぎて困る人や不幸にして子どもを亡くした人は、この地蔵に乳をあずけた、という乳預け祈願の話がある。
現在は道路の改修工事に伴って移動し、道路ぎわの擁壁の中に収められている。
坂内村教育委員会:坂内村誌 民俗編、坂内村、1988年、p583〜584
https://dl.ndl.go.jp/pid/13253100/1/312
写真:内岡 恵撮影(2023/4/9)


