乳信仰探訪

蛭川一色の夜泣き石

県道408号のすぐ脇に、赤い鳥居と石を祀った祠がある
石の大きさは一抱えよりちょっと大きい程度
石の上には十字が刻まれている

『美濃の民話』に乳の祈願が行われた夜泣き石の話があり、TV「まんが日本むかし話No.0391」としても放映された。次のような話である。
むかし恵那の蛭川から福岡の高山へ通じる若山道という峠に茶屋があり、万作とお筆という子どものいない夫婦が暮らしていた。夜になると大きな石から赤ん坊の泣き声が聞こえるようになったので、あやして乳房を石に押し付け含ませるようにしていると、お乳が張るようになり子どもも授かった。この石は大切に祀られ、子授け、夜泣き、乳の出などに御利益があるとして、たくさんの人がお参りにくるようになった。
『美濃の民話』には、この石の上面についている「十」印は、一人の遊行僧が石を壊さずに泣き声を止めるためにつけたもの、と記載されている。地元の女性からの情報によるとそれはお筆が乳を吸わせていた場所を示すものとのことである(2024年9月訪問)。
『わたしたちの岐阜県の伝説』にも同じく乳が出るようになった話が詳しく書かれているものの、ご利益は子授けのみになっている。
石は黒瀬街道と呼ばれる県道408号線沿いにあり、道路から石段を少し登ったところの祠に祀られている。側に「中津川市がんばる地域サポート事業」で立てた案内板があるが、夜泣きの話のみで乳の話は記載されていない。

後藤時男:わたしたちの岐阜県の伝説、大衆書房、1972年、p129〜131 https://dl.ndl.go.jp/pid/12929596/1/35
赤座憲久編:美濃の民話 第1集 日本の民話51、未来社、1973年、p100〜103
まんが日本むかし話 No.0391「夜泣き石」http://nihon.syoukoukai.com/modules/stories/index.php?lid=391&cid=30
写真:奥 起久子撮影(2024/9/6)

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