乳信仰探訪

春日神社の神乳水

細呂木集落の春日神社は結構高い丘の上にある(河野 忠氏提供)
「御乳神」と彫られた井戸があり、水が汲めるようになっている(河野 忠氏提供)

あわら市郊外、細呂木集落の春日神社に神乳水(しんにゅうすい)という湧き水があるがある。「乳水」と呼ばれて乳の祈願がされたことが、現地の由緒・沿革を記載した説明板、福井県神社庁のサイト、環境庁の湧水サイト、下記の資料にある。
『細呂木村史』には、当初は田村麻呂の手洗池と呼ばれていたが、文化文政の頃に諸国遍歴の義賢仙人がこの村に来て乳の出のために祈願したことで「神乳水池(かみちちのみずいけ)」と呼ばれるようになり、多くの人が遠くからも参拝するようになったとある。『福井県神社誌』には境内に神乳水池あり、義賢仙人が祈願して一夜にして湧き出たもので、県内はもちろん石川県よりも参拝する婦人が多いとある。『越前若狭の伝説』には両者が引用されている。
井戸は本殿右奥にあり、井戸の周りの石の囲いには「御乳神」と彫られ、水が汲めるよう柄杓が置かれている。ここは丘の上で長い石段を登ってくるのだが、このような場所に地下水があるのは不思議なことと湧水の専門家である立正大学の河野 忠教授がコメントしている。
春日神社は寛弘8年(1011)に坂上田村麻呂が敷地を寄付し、春日十社を勧請したのが始まりという古い神社。昔は近郊の10の村の春日社総社として大変賑わい、地元ではお春日さんと親しまれた。天正・慶長の受難時代に戦乱火災や検地により社領を失って神社として維持できなくなり、氏子が維持管理を行うようになったという。

島津盛太郎:福井県神社誌、福井県神職会、1936年、p184〜185
坂木豊:細呂木村誌、福井県坂井郡金津町細呂木村誌委員会、1963年、p516
杉原丈夫:越前若狭の伝説、松見文庫、1970年、p216〜217
福井県神社庁サイト https://www.jinja-fukui.jp/detail/index.php?ID=20151027_101351
環境庁:福井県の代表的な湧水サイト https://www.env.go.jp/water/yusui/result/sub2/fukui.html
写真:河野 忠氏(立正大学)提供

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