日本助産師会出版

乳信仰探訪

裏山を登っていった所に大きなイチョウが立っている
背が高いので、下の道路からもそれとわかる
いくつかのチチが垂れている

剣山へ通じる国道438号を河内堂の先で左折して山を登っていったところに大佐古集落がある。ここの旧家の裏に大きなイチョウがあって、乳イチョウと呼ばれ、祈願すると不思議に乳が出るようになるといわれて参拝する婦人がいたという話が『一宇村史』にある。村史には幹周2.7m程度とあり、背が高いので下の道路からも見えている。
建てられ時期は不明だそうだが、第二次世界大戦頃までは樹下に小さい祠があった。戦時中に事情があって取り壊されたとのことで、現在は祠の跡に石が2、3個残っているだけとのこと。
旧一宇村は現在のつるぎ町一宇で、周辺全部が山村地区であるが、村史には3ヶ所の乳の祈願場所の記載がある。村史にはないが確認された場所を含めると4ヶ所になる。同じ大佐古地区にもう一ヶ所「五葉の木」という場所が書かれており、根元のひらら石の上に泥団子を載せて祈願するとあるが、樹種不明で現存も確認できない。
このような狭い地域に多くの伝承が残されているのは、この地域一帯が剣山の北斜面で、巨樹王国と称されて日本有数の巨樹の里*として知られる、という話と関係あるかもしれない。
*阿波世界農業遺産 http://www.awa-nougyoisan.jp/阿波世界農業遺産[写真展]/御堂と森・巨樹編-写真展1/(乳の祈願場所のデータはない)

一宇村史編纂委員会:一宇村史、一宇村役場、1972、p332
資料と写真:つるぎ町教育委員会提供

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樹木(イチョウ以外)その他現存せず奉納物(乳絵馬)奉納物(乳型)存在せず摩崖仏神社樹木(イチョウ)仏像寺院仏像(堂)岩石乳神など

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