日本助産師会出版

乳信仰探訪

大きなイチョウが、道路のすぐ側に立っている。前のバス停名は境目である
たくさんのチチが下がっており、樹下に小さな祠がある

阿波と讃岐の境目、現在の徳島県の香川県に接した境目地区に立っているイチョウ。昔から 「乳神さま」として信仰を集め、乳の分泌を祈願する女性が参拝に訪れたこと、このイチョウの下に米1合を供えて祈願したことが、香川県が建てた現地案内板に書かれている。
『大日本老樹名木誌』『日本老樹名木天然記念樹』には大影のイチョウという名称で、弘法大師が巡錫(じゅんしゃく)の時に携えて来た実を蒔いたもので、数百条もの乳房が垂れていて里人は乳の神と称えている、とある。
樹高14m*、目通り幹周9.1m*、推定樹齢600年**と言われて県指定天然記念物である。小さいチチがたくさん垂れており、根元に小さな祠がある。四国八十八ヶ所8番札所の大窪寺から順打ち方向に向かう遍路道の途中の道路脇にある。
案内板には、大阪夏の陣で敗れた生駒讃岐守の弟甚助正信が、徳川方による残党狩りを逃れてこの地に隠れ住んだが発見され、このイチョウの下で自害したことも記されている。
*1991年環境庁データベースによる  **現地樹名板による

阿波市観光協会サイトhttps://www.awa-kankou.jp/odekake/daiichou/
本多静六:大日本老樹名木誌、大日本山林会、1913、p121
横山春陽:阿波名木物語、徳島新聞出版部、1960、p164〜165
帝国森林会:日本老樹名木天然記念樹、大日本山林会、1962、p302
写真:奥 起久子撮影(2023/4/24)

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樹木(イチョウ以外)その他現存せず奉納物(乳絵馬)奉納物(乳型)存在せず摩崖仏神社樹木(イチョウ)仏像寺院仏像(堂)岩石乳神など

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