日本助産師会出版

乳信仰探訪

乳保神社のイチョウ

目通り幹周17. 2mで国指定天然記念物という巨樹である
書籍にはチチに白紙を巻きつけたり結ぶとあるが、そんなチチは少なそう

乳保(にゅうほ)神社境内にある四国最大のイチョウ。樹高22m*、4本立ちで目通り幹周17.2m*、主幹は13.4m、推定樹齢800~1000年**とのことで国指定天然記念物。
古くからご神木として乳の病や乳の出の祈願で有名で、チチの先を白紙で結んでおくとご利益があると『上板町史』に記載されている。書籍『大日本老樹名木誌』『阿波名木物語』『日本老樹名木天然記念樹』『樹木図説』には、乳を病む者や乳の少ない者がこの社に詣でて垂下している乳房に白紙を結び付けて祈願すると必ず霊験があり、古来乳の神と称えて参詣する者が多い、とある。
落雷、台風、火災など幾つもの災害の記録があり、そのために樹高が低くなったという。400年前に長宗我部元親が松永弾正久秀を攻めて来て寺社を焼き払った時には、このイチョウが水を吐いて火を消したという故事が現地の由緒書きにある。
ご祭神は木花咲屋姫命で、寛政年間に樫山神社から乳保神社と改称した。
*1991年環境庁データベースより **徳島県教育委員会・上板町教育委員会連名の現地案内板より

本多静六:大日本老樹名木誌、大日本山林会、1913、p108
高知営林局:四国老樹名木誌 上巻、1928、p78
横山春陽:阿波名木物語、徳島新聞出版部、1960、p155〜156
帝国森林会:日本老樹名木天然記念樹、大日本山林会、1962、p289
上原敬二:樹木図説 第2巻イチョウ科、加島書店、1970、p176
上板町史編纂委員会:上板町史 下巻、上板町史編纂委員会事務局、1985、
浅井治海:樹木にまつわるものがたり、フロンティア出版、2007、p50
阿波ナビhttps://www.awanavi.jp/spot/20281.html
写真:奥 起久子撮影(2023/4/24)

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樹木(イチョウ以外)その他現存せず奉納物(乳絵馬)奉納物(乳型)存在せず摩崖仏神社樹木(イチョウ)仏像寺院仏像(堂)岩石乳神など

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