日本助産師会出版

乳信仰探訪

丸目の乳岩さま

乳のように見える岩壁の造形物の下に小さいお社が置かれている
岩壁への経路は、赤い鳥居をくぐって山を登っていく
乳のような突起物は、堆積岩中に析出するノジュールと言われる自然の造形物である

荒平山(丸目山)の側、丸目の集落から山の方に入っていくと、山の麓に岩屋がある。天井にあたる岩に乳房のような丸い小さな突起があり、ここに祈願すると母乳が出ると言われている。岩の下には乳岩神社という小さな祠が祀られている。
清武町の民話「丸目の乳岩さま」:むかし山幸彦として知られる彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと)と玉依姫(たまよりひめ)の一行が日南市鵜戸の宮から高原町の狭野の宮に行く途中ここにさしかかった。赤ちゃんであった鵜葦草葦不合命(うがやふきあえずのみこと)がお腹を空かせたが飲むものがない。
見ると岩屋の天井に乳首のような岩があって白い水が滴っており、これを竹筒に入れて飲ませたところ乳であった。一行はお乳水のおかげで無事に目的地に着いた。地元の人たちは、二本の竹筒に甘酒を入れてお供えして「お乳がたっぷり出ますように」と祈願するようになった。宮崎県の記念事業サイトで一部が紹介されている。
この岩にある乳房状突起は堆積岩中に析出するノジュールと言われる自然の造形物で、和歌山県田辺市、愛媛県宇和島市にも同じような形のものがあって乳の祈願の対象となっており、それぞれ「ちちさま」「ノゾキ岩」と呼ばれている。

小池綏男:乳守の巡礼、ほおずき書籍、2004、p677
宮崎県観光推進課記紀編さん記念事業推進室「みやざきの神話・伝説・伝承(神話のふるさとみやざき)」
https://www.miyazaki-archive.jp/d-museum/shinwa/details/view/3014
写真:奥 起久子撮影(2021/5/3)

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樹木(イチョウ以外)その他現存せず奉納物(乳絵馬)奉納物(乳型)存在せず摩崖仏神社樹木(イチョウ)仏像寺院仏像(堂)岩石乳神など

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