日本助産師会出版

乳信仰探訪

境内端に立っていて傾いているため高さ4mのところで切られていたがよく回復している
神社の社叢は天然記念物に指定されている
イチョウの根元には古い石造物が草に埋もれている

台(だい)神社は熊野神社ともいわれ、むかしから「乳もらい」の場所として祈願されていたという記載が『天瀬町史』にある。境内には地上2mで幹周11.5m*という大イチョウがある。児島氏の報告書(2017)では、神社の前に住む高齢女性にこのイチョウに乳の祈願がされていたという話を聞けて乳信仰の確認ができたとある。2023年訪問時に現地の神社管理者など数名の男性に取材できたが、乳の祈願の話を知った方はいなかった。
このイチョウは境内から民家に向かって傾いているため危険ということで4mの高さで切られたそうだが、よく回復して葉を茂らせている。
神社の境内林(社叢)は「台神社の森」という名称で市指定天然記念物に、神社のそばを通る小径は大名行列も通った「旧往還石畳」として市指定史跡に登録されている。
台神社は、宝暦8年(1758)建立という女子畑字二本木の村社である熊野神社と、宝暦4年再建という女子畑字御霊の村社御霊神社が合併したもので、速須佐之男神、伊弉諾尊、伊弉册尊等の多くの神々が祀られている*2。御霊神社は南北朝時代に南朝の将軍として北朝側と戦ってここで亡くなった懐良親王(町長親王とも)を祀ったという*3

児島恭子:2017年科研報告書
https://kaken.nii.ac.jp/report/KAKENHI-PROJECT-15K02838/15K028382017jisseki/
天瀬町:天瀬町史 明日への礎 改訂版、天瀬町、2005、p592
* 天瀬町史(2005)による。平成24年(2012)日田市教育委員会『日田市の歴史文化財』では樹高20m、幹周8.7m。
*2 新全国神社検索 https://www.jinja-net.jp/jinja-all/jsearch3all.php?jinjya=7943
*3ブログ「こちらは北部九州にある盆地日田です」http://hita1969.blog.fc2.com/blog-entry-433.html *2、3には乳の情報はない。
写真:奥 起久子撮影(2023/8/21)
情報提供:日田市役所文化財保護課

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樹木(イチョウ以外)その他現存せず奉納物(乳絵馬)奉納物(乳型)存在せず摩崖仏神社樹木(イチョウ)仏像寺院仏像(堂)岩石乳神など

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