日本助産師会出版

乳信仰探訪

上分一の乳観音

白く乳が流れているように見えることから乳観音と呼ばれた巨岩
山に登れない人のために麓に拝所(願所)が作られた
乳観音拝所の中のお地蔵さま、結構古そうである

久保泉町妙楽寺集落から腰巻山や猿岳に向かう土器山(標高430m)の中腹、地元で上分一(かみぶんいち)という場所に、幅5m、高さ20m弱の巨岩がある。
白く乳が流れているように見えることから乳観音と呼ばれ、乳の祈願のために佐賀県内はもとより福岡や長崎からも女性が訪れていたこと、そこまで行けない人たちのお参りの便のために、麓に小さい祠を建てて「願所」としているという話が、公民館提供の地元婦人会資料にある。
地元の方のお話では、子どもの頃乳観音案内をしてお駄賃をもらい、お小遣いにしていたそうだ(2022年)。集落の登山道入り口にある乳観音拝所(ちちかんのんおがんしょ)は小さい祠で、石のお地蔵さまがお祀りされている。
そばにある久保泉町自治会の案内板と久保泉公民館だよりに、巨石の流水の跡を削り取って、その下から出てくる湧水に溶かして飲んだという話が記載されている。
妙楽寺集落には以前妙楽寺という寺院があった。地元では後鳥羽上皇(1180〜1239)の時代に上皇妃が建立したと伝えられており、この周辺は妃浦千軒と言われて賑わったという。
この妙楽寺はむかし大きな山津波のため押し流され、寺院は妙楽寺集落から15kmほど離れた場所に移転しており、現地には集落名としてのみ妙楽寺が残る。

久保泉公民館だより 2017年11月https://www.tsunasaga.jp/kuboizumi/公民館だより平成29年11月.pdf
婦人会資料「妙楽寺の伝説」、1950、久保泉公民館提供
写真提供:大坪朋子氏(佐賀市久保泉町在住)
資料提供:佐賀市立久保泉公民館

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樹木(イチョウ以外)その他現存せず奉納物(乳絵馬)奉納物(乳型)存在せず摩崖仏神社樹木(イチョウ)仏像寺院仏像(堂)岩石乳神など

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