総持寺の経堂横にある地蔵堂の中に4体の石地蔵が祀られている。向かって右奥の背の高いのが乳もらい地蔵。
そばの案内板によると、亡くなった母親がのこした子どものために夜な夜な飴屋に通って飴を買い、乳の代わりに飴で子どもを育てたとある。子どもは長じて総持寺五代の通幻寂霊(つうげんじゃくれい)禅師となり、乳が得られない子どもの成長を願ってこの地蔵を安置したもので、乳で困っている女性や子育てに悩む父母を助けるご利益があるという。
『久之の郷』では、禅師は生まれてすぐ母を亡くし祖母が貰い乳をしながら育てた、という話になっているが、幽霊が育てたという話もある、と記載されている。
このような「飴買い幽霊」「子育て幽霊」の民話は全国に広く多数伝わっているが、乳の祈願が関係しているのは、京都府福知山市の永明寺と福岡市の安国寺と、ここと計3か所だけである。永明寺は男児が成長して高僧になり建てた寺院とのことだが、安国寺の女児は亡くなっている。
諸嶽山總持寺は、元亨元年(1321)瑩山紹瑾(けいざんじょうきん)禅師によって開創。曹洞宗の本山として、全国に末寺1万6千余を数えて隆盛を極めていたが、明治31年(1898)に七堂伽藍の大部分を焼失したことを機に、布教伝道の中心を神奈川県横浜市鶴見に移した。現在約2万坪の敷地に祖廟として堂宇が再建されている。
佃 和雄:能登 總持寺、北國新聞社、1974年、p25〜26
門前町郷土史研究会:久之の郷 6号、2005年、p42〜43
ブログ「輪島たび結び」https://wajimanavi.jp/info/2019/05/10/1155/
写真と情報提供:輪島市教育委員会(2021/10/01撮影)


