乳信仰探訪

「いさと」という美しい響きの山間の集落にある光明寺
境内に立つ赤ちゃんを抱いた姿の水子地蔵と延命地蔵
本堂に祀られている子安観音に乳の祈願が行われたという情報もある(光明寺提供)

五郷は「いさと」という美しい響きの山間の集落。そこにある光明寺は、安産、子育て祈願、厄除け祈願で知られる。境内西側に赤ちゃんを抱いた姿の水子地蔵と延命地蔵が並んで安置されており、このお地蔵さまには母乳の出過ぎを止めたり、出るようにしたりという伝承があると『地蔵霊場巡拝ごあんない』に記載がある。一方熊野市役所発行のパンフレットには、本堂に祀られている子安観音に乳の祈願が行われたとある。
子安観音は高さ33cm、江戸時代後期のもの。『熊野市史』によると、近年まで観音講が行われ、ご本尊でないにもかかわらずこの観音信仰が光明寺の中心的信仰だった時期があるという。
毎年3月第一日曜日には子安観音、延命水子地蔵を祀る大祭があり、安産や子育て祈願を願う多くの参拝者で賑わうとのこと。
光明寺は山号を寶壽山という曹洞宗の寺院。永禄12年(1569)に越前からきた才應総芸(さいおうそうげい)和尚が地福庵を開いたのが最初とされる。ご本尊は阿弥陀如来で、他に子安観音、梅花観音、熊野西国観音が本堂に安置されている。熊野西国三十三観音霊場 第9番、東海近畿地蔵霊場 第22番、三重梅花百観音霊場 第75番にもなっている。
なお熊野市内には遊木町に「嘉永の津波供養塔」のある光明寺があるが、別の寺院である。
 *熊野市史編纂委員会:熊野市史 下巻、熊野市、1983年、p43

東海近畿地蔵霊場会本部:地蔵霊場巡拝ごあんない、1988年
熊野市役所観光スポーツ交流課作成パンフレット「ようこそおこんの里五郷(いさと)へ」
写真:奥 起久子撮影(2023/4/16)、光明寺提供
資料提供:古田浩照氏(光明寺住職)

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