乳信仰探訪

ご神体の大きなカヤの木とその下に小さな祠がある
乳母神を祀る小さな祠

櫛田川の川原に鉾ヶ瀬(ほこがせ)と呼ぶ場所がある。その近くにご神体のカヤの木とその下に灯篭1基、乳母神を祀る小祠がある。『多気町史』に「鉾ヶ瀬とおん婆さん」というタイトルでこの場所についての記事がある。この祠はむかしは咳の神として旧家の私祠だったが、乳の出のご利益もあって、昭和20年(1945)ごろまでは汽車に乗って遠くからも参拝者が来たという海住正子氏の報告が紹介されている。
隣にある浄土寺住職からの情報では、乳の祈願というのは地域の伝承で、郷土史の研究者であった海住夫妻が丹念に取材して資料にまとめたもので、記載された元資料はないとのこと。
鉾ヶ瀬は江戸時代に「渡し」があり、乳母神が祀られているのはその下り口だった場所。むかし倭姫命(ヤマトヒメノミコト)がこの川で鉾を清めたのが語源で、相可に居住していた神宮の神官たちも禊をした神聖な場所という。

多気町史編纂委員会:多気町史 通史、多気町、1992年、p807〜808
海住正子:相可ふるさと会資料12号、昭和57年3月21日、p1〜6
写真:奥 起久子撮影(2025/4/19)
情報と資料提供:多気町郷土資料館、相可浄土寺

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