乳信仰探訪

木立と古い石垣に囲まれて薬師堂がある
お薬師様は厨子の中のようで、綺麗に管理されている
石を巻き込んで成長している隣のケヤキ

鼓(つづみ)集落の下手の小川のそばにあり、隣の大きなケヤキが目立つお堂である。この薬師堂の薬師如来は乳房薬師といい、お米1升をお供えしてその半分を持ち帰り、7日間お粥を作って食べると不思議と乳が出るという話が『伊勢・志摩の伝説』に、また乳房薬師堂と呼ばれて近在はもちろん美濃方面からも祈願に来たという話が『北勢町風土記』に記載されている。
お堂の隣に住んで管理している人の話によると、昭和30〜40年頃までは乳の祈願でお参りに来る人がいたとのこと(2023年7月訪問)。
『北勢町風土記』には、お堂の由来について、岡田静堂『員弁雑記』に惣左衛門という者の持仏で乳の出に霊験があると記載されていること、お堂の鰐口は寛政9年(1797)の銘があるとの記載がある。
そばのケヤキは、環境省巨樹巨木林データベースによれば、樹高18m、目通り幹周3. 6mとあり、地上から少し上のところに石を巻き込んでいる。昔薬師堂のそばにあった石を村の庄屋が庭石にしようと持ち帰ったところ、夜中に石が「帰りたい」と言うので元に戻したところ、欅が巻き込んだという話も『北勢町風土記』に紹介されている。

駒 敏郎、花岡大学:伊勢・志摩の伝説 日本の伝説32、角川書店、1979年、p111〜112
北勢町風土記編集委員会:北勢町風土記 資料第1集、北勢町教育委員会、1980年、p367
写真:奥 起久子撮影(2023/7/8)

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