長命寺は琵琶湖を見下ろす長命寺山に建てられた寺院。本堂内向かって右側に祀られている薬師如来立像は乳薬師と呼ばれ、乳の祈願の対象であったと伝えられている。
現地に「祈願すると母乳の出がよくなる乳薬師として信仰されており・・・」と書かれた「涎掛け奉納のご案内」という案内文があり、涎掛けが販売されているので、涎掛けが足元に多数奉納されている。昔は乳型が奉納されていたそうで、大正元年(1912)の文展に出品された日本画家中澤弘光の「乳の祈願」には、薬師如来の周囲にたくさん奉納されている乳型が描かれている。
長命寺は山号を姨綺耶山(いきやさん)という天台宗の寺院。本尊は千手観音、十一面観音、聖観音の三尊を千手十一面聖観世音菩薩としたもの。聖徳太子の開基と伝わっている。本堂前の三仏堂にも薬師如来が祀られているが、乳薬師とされているのはそれではなく本堂内のものである。
重要文化財の本堂や三重塔をはじめ多くの文化財を持ち、「琵琶湖とその水辺景観」の構成文化財として日本遺産に認定されている。
*日展史編纂委員会:日展史2 文展編2、社団法人日展、1980年、p509 https://dl.ndl.go.jp/pid/12417146/1/257
サイト「きょうのまなざし」 https://www.kyotocity.net/diary/2016/0614-chomeiji-ajisai/
写真:奥 起久子撮影(2025/4/21)、『日展史2』より


