乳信仰探訪

福知山市の郊外にある浦島太郎を祀る浦島神社
ここのお沼(ぬう)の水でお粥を炊いて食べると乳が出るとの伝承がある

浦嶋神社は浦島太郎を祀る神社で、水神神社ともいう。水の神様、お乳の神様、牛の神様として村人の信仰を集めたという民話が『天田郡志資料』に記載されている。
それによると、500数十年前川北地区に住む福寿院という山伏の夢に浦島太郎が出てきて、ここの沼を訪れるように告げた。この沼は海底の竜宮城と繋がっているとのことで、不思議な現象が起きるため、太郎を祀る神社が沼の側に建てられた。福寿院の近くに住む赤子をもつ母親は、太郎の夢のお告げのとおりに、お沼(ぬう)の水でお粥を炊いて食べると乳があふれ出るようになり、その話を聞いた人々が願掛けに訪れるようになったとある。
乳の出のご利益の情報は、サイト「丹後の地名」と「神社探訪 狛犬見聞録」で、雨乞いのご利益や牛の病気のご利益に先立って紹介されている。
平成19年(2007)に神社は由良川改修工事のために移転し、この時地元の人々の希望で沼の移転工事も行われた。現在現地のお沼(ぬう)の由来という案内板には、雨乞いの話のみで乳の話は記載されていない。

山口加米之助:天田郡志資料 上巻、淑徳同窓會発行、1936年、p467〜472
https://dl.ndl.go.jp/pid/1223079/1/268
サイト「丹後の地名」 https://tangonotimei.com/amata/toda.html
サイト「神社探訪 狛犬見聞録」http://www.komainu.org/kyouto/fukuchiyamasi/urashima_toda/urashima_toda.html
写真:奥 起久子(2023/7/14撮影)

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