乳信仰探訪

市指定天然記念物で「授乳のイチョウ」と呼ばれる
イチョウはこの薬師如来のご霊木と書かれている

長安寺の境内に、樹高37m*、目通り幹周4.4m*、樹齢伝承600年*のイチョウがある。市指定天然記念物で京都府自然200選にも選定。昔から麻呂子親王の薬師如来御霊木といわれて崇められ、今も「授乳のイチョウ」として女性の信仰の対象となっていると、京都府と福知山市のホームページに紹介されている。1991年の環境庁データには「授乳のイチョウ」と記載され、『京阪神ご利益ガイド』には「乳の出をよくするイチョウ」とある。京都新聞(1996,10,4)には、以前は神社に信者からの依頼があると梯子をかけてノコギリでチチを切り取って渡したという話が紹介されている。
雄木でチチがたくさん下がっている。住職からの情報では、2019年に折れて落下した枝にあった10本ほどのチチを切り取って置いたところ、持ち帰り希望者が多くすぐになくなってしまったとのことで、今もしっかり信仰されているようだとのこと(2021年7月訪問)。
長安寺は山号を医王山という臨済宗南禅寺派の寺院。用明天皇の第三皇子である麻呂子親王が丹波国の大江山に棲む鬼征伐に向かう途中、戦勝祈願のため薬師如来像をこの地に奉祀したと伝わっている。平安時代末期には真言宗の寺院となったが、室町時代の応永年間の火災で焼失、その後福知山城主となった杉原家次によって再建された。近辺は公園となっており、紅葉が有名である。
*1991年環境庁データベースより

神戸新聞出版センター:京阪神ご利益ガイド、神戸新聞出版センター、1985年、p132
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写真:奥 起久子撮影(2021/07/23)

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