乳信仰探訪

「野崎詣り」で知られる野崎観音の一角にある薬師堂
ここの薬師如来は授乳のご利益もあることでも知られ祈願されたという

野崎の観音さんといわれて、子授け・安産祈願で多くの人がお参りする場所。境内の薬師堂に祀られている薬師如来は授乳のご利益もあることで知られ、お参りすると乳が出るようになるといわれているという話が『近畿の民間療法』と『京阪神ご利益ガイド』にある。しかし社務所のスタッフからの情報によると、現在乳の祈願の話は伝わっていないとのことであった(2023年7月訪問)。
野崎観音は正式には福聚山慈眼寺(ふくじゅさんじがんじ)という禅宗の寺院。天平勝宝年間(749〜757年)に行基が十一面観音を彫って安置したのが最初という古い歴史がある。境内には、行基が自ら彫ったといわれる本尊十一面観音像を安置した本堂の他、江口の君堂、三十三所観音堂、らかん堂(十六羅漢像)などがある。
伝統行事「野崎詣り(のざきまいり)」(正式には無縁経法要という、生きとし生けるものすべてに感謝のお経を捧げる行事)は、元禄時代から300年以上も続き、落語の「のざきまいり」、東海林太郎の「野崎小唄」、「お染久松の恋物語」などで広く知られる。

倉田正邦ほか:近畿の民間療法、明玄書房、1976年、p113 https://dl.ndl.go.jp/pid/12169957/1/60
松井高男:京阪神ご利益ガイド、神戸新聞出版センター、1985年、p176〜177
ブログ「大阪のご利益さん」http://www.goriyaku.kotomeguri.com/osaka/goriyaku/kodomo/yakushi_nozaki.html
写真:奥 起久子撮影(2023/7/15)

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