乳信仰探訪

白山社というが、お社はなく岩そのものがご神体である
鳥居の脇に社名、ご祭神名、お賽銭箱が設置されている
昔はタガネが置かれていたと資料にあり、削られた跡のように見える部分がある

白山社は玉置神社の境内にあるが、お社はなく岩そのものがご神体の磐座(いわくら)である。ご祭神は菊理媛命(くくりひめのみこと)と現地の案内板に記載されている。山頂付近から続く枕状溶岩の西端が参道の途中に露出している場所で、鳥居と白山社という柱標が立っている。
サイト「み熊野ねっと」に、この岩は「乳岩」といわれ、削って煎じて飲むと乳の出がよくなるとある。資料『十津川』には、乳岩のそばには鉄のタガネが置いてあり、それで岩を削って煎じて飲むと乳の出がよくなると記載されている。
現在はもちろんタガネは置かれていないが、よく見るとタガネで削ったのではないかと思われるような箇所は見受けられる。神社関係者の話では、雨が降ってここの岩盤の隙間から滴り落ちてくる水を飲むと乳が出るという伝承もあるとのこと(2024年10月取材)。
玉置神社公式サイトの白山社の記事*には、「和合の神」「縁結びの神」のみが書かれており、乳の祈願の話は関係者には知られていても記載されていないようだ。
玉置神社は標高1,076mの玉置山の山頂近くにあり、創立は紀元前崇神天皇の時代という歴史のある神社。平成16年(2004)に「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録されている。
*玉置神社白山社 http://www.tamakijinja.or.jp/fest/hakusan_tamaishi_2015.html

サイト「み熊野ねっと」https://www.mikumano.net/meguri/tamaki.html
奈良県教育委員会 文化財保存課:十津川、十津川村長、1981年、p570〜571
https://dl.ndl.go.jp/pid/9573989/1/321
写真:奥 起久子撮影(2024/10/11)

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