南越前町の山と畠に囲まれた合波集落は「お乳の里合波」と呼ばれ、丘陵と畑地の中に白鬚神社がある。現地の白髭神社略記という説明板の記載によると、武内宿禰が神功皇后の出産後乳が出ないと相談があって祈願したところ、「越の国三尾の里に西面の滝あり、この水をご養婦に奉れば乳の出ること滝の如し」とのご神託があり、この滝を発見。届いた水を飲んだ神功皇后の乳が出るようになり、皇子は健康に育って15代応神天皇になった。その後第22代清寧(せいねい)天皇もご利益に与ったこと、水が「信露滝」の水と呼ばれたことが書かれている。
『福井県神社誌』にも同じ話がある一方で、福井県神社庁のサイトと『越前若狭の伝説』では滝と別の薬水の泉に効験があったとある。
「乳の神様」と信仰され、小袋に籾殻を入れて作った乳房状のものを奉じて母乳祈願や報賽をする人が跡を絶たない、という記載が神社庁サイトと『越前若狭の伝説』に、藩主の有馬氏が代々子どもが生まれるたびに乳の祈願に参拝したことが『福井縣の伝説』にある。
現在は間に害獣よけの柵ができて、開けてもらわないとアクセスできないが、拝殿を向かって左の奥に進むと高さ15mほどの立派な滝がある。また拝殿の天井の方々に三角形の乳型を束ねたものや丸い立体乳型絵馬が多数吊り下げられている。
白鬚神社の創立時期は不詳だが、社伝に往昔は白城神社と称し式内社であったとあるとのことで、古くからの格式高い神社だったようだ。武内宿禰を始め多くの神が祀られている。南越前町今庄63-27に白鬚神社という別の神社があるので注意。
河合千秋:福井縣の伝説、1936年、福井県鯖江女子師範学校郷土研究部、p499〜500
島津盛太郎:福井県神社誌、福井県神職会、1936年、p313〜314
杉原丈夫編:越前若狭の伝説、松見文庫、1970年、p595〜596 https://dl.ndl.go.jp/pid/12467707/1/312
杉原丈夫ほか:中部の民間療法、明玄書房、1976年、p27〜28 https://dl.ndl.go.jp/pid/12169789/1/17
サイト「延喜式神社の調査」http://engishiki.org/echizen/bun/ech310116-02.html
福井県神社庁サイト https://www.jinja-fukui.jp/detail/index.php?ID=20160819_163823
サイト「福井情報いちばん館」 http://imajou.seesaa.net/article/281420626.html
写真:内岡 恵(2022/12/5 撮影)、奥 起久子撮影(2025/4/1)



