乳信仰探訪

古い記録によると、菊理姫大神も祀られていたという白山神社
向かって左の小堂の中は井戸、右の小堂には石地蔵が祀られている
薬師堂の薬師如来にも祈願が行われたようだ

白山神社は泉が丘と呼ばれる丘陵の東麓にある神社。『福井縣の伝説』『越前若狭の伝説』によると、境内の西方に薬師堂、その後ろに鏡ヶ池がある。これは空海がむかし嵯峨天皇弘仁年中に加持祈祷に用いた浄水と伝えられ、この水を飲むと乳が出るようになると遠近から参詣する者が多い、とある。
薬師堂は玄関にしめ縄が掛けられて社務所として使われ、2階建てに増築されているが、中には梵鐘と薬師如来が祀られている。
管理している区長からの情報によると、資料にある鏡ヶ池は薬師堂の向かって左手奥の田んぼの脇にあったが、埋まってなくなってしまった。代わりに薬師堂の裏に井戸が掘られ、その水を使っていたとのこと。裏手には小さい祠が2つあり、片方には井戸があって使われていないが水は溜まっている。片方には石の地蔵さまが祀られている。50年くらい前までは乳の祈願に来る人がよくいたとのこと。薬師如来にお参りした後裏に回って井戸の水をもらい、お地蔵さまにお供えした後持ち帰っていたとのことである(2025年4月訪問)。
『敦賀郡神社誌』によると、白山神社は現在伊弉諾尊(いざなみのみこと)、伊弉冉尊(いざなぎのみこと)を祀るとなっているが、古い『氣比宮社記』には菊理姫大神とあり、その後抜けてしまったらしい。菊理姫大神なら乳の祈願があっても当然だろう。敦賀市内には他に白山神社が2つもある(麻生口、色浜)ので注意。

石井左近:敦賀郡神社誌、福井県神職会敦賀郡支部、1933年、p316〜317
https://dl.ndl.go.jp/pid/1212577/1/180
河合千秋:福井縣の伝説、福井県鯖江女子師範学校郷土研究部、1936年、p527 https://dl.ndl.go.jp/pid/1231677/1/280
杉原丈夫:越前若狭の伝説、松見文庫、1970年、p652 https://dl.ndl.go.jp/pid/12467707/1/341
サイト「丹後の地名」 https://tangonotimei.com/etizen/turuga/takano.html
写真:内岡 恵撮影(2023/6/27)、奥 起久子撮影(2025/4/1)

カテゴリー

内容

県名検索