乳信仰探訪

参拝者で賑わったと伝わる妙見堂への参道の石段
丘の上の跡地に、妙見堂浄徳庵というお堂が再建されている
川崎市の施設に移動された重文の妙見菩薩像(よみうりランドサイトより)

伊勢神宮内宮の近くの妙見山と呼ばれた小高い場所に、常明寺妙見堂があり、鎌倉時代後期の正安3年(1301)のものという妙見菩薩(現・重要文化財指定)が祀られていた。「子授け」「乳の神」「子育ての神」として信仰を集め、妙見堂に通じる石段は参詣する人々で大変賑わったといわれる。『伊勢・志摩の伝説』には、妙見菩薩は平安時代に瀬田川から引き上げられた流木から作られたもので、乳の出を願う信仰が生まれ、今でも参詣者が絶えないとある。
妙見堂は、伊勢神宮の外宮である豊受大神宮家の禰宜「度会氏(わたらいうじ)」の先祖を祀った岡崎宮(おかざきのみや)で、妙見菩薩を安置した後に妙見堂と呼ぶようになったという。
常明寺は明治の廃仏毀釈によって廃寺となり、妙見菩薩は正力松太郎氏の所有になって現在川崎市よみうりランド関連施設*に安置、妙見堂は長野県諏訪湖の森**に売却された。伊勢市の現地には妙見堂浄徳庵というお堂が再建されている。
妙見信仰は各地に広がっていた星の信仰で、『妙見信仰の史的考察』に次のように妙見信仰と乳信仰の関係は深いという記載がある。「『伊勢参宮名所図会』に、渡会氏の妙見信仰は乳の神として、地元および近郷の尊崇を集めていたとある。米を紙で包み、それに穴を開けて乳の出が良くなるよう祈願、逆に乳の出の良い場合は、穴の開かない乳首を模ったものを奉納し、余分な乳を妙見様に預かって貰うように奉納した」。
*よみうりランドサイト https://www.yomiuriland.com/hanabiyori/area/seinaru_mori.html
**伊勢妙見顕彰会関連サイトhttps://web.archive.org/web/20181107074213/http:/www.geocities.co.jp/SilkRoad/7410/suwag.html

駒 敏郎、花岡大学:伊勢・志摩の伝説 日本の伝説32、角川書店、1979年、p21〜22
中西 用康 : 妙見信仰の史的考察、平泉明事務所、2008年、p202
ブログ「伊勢おいないな日記」 http://tetsukujira.blog.fc2.com/blog-entry-1207.html
写真:奥 起久子撮影(2023/4/15)

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