乳信仰探訪

他所で見られないユニークな形の乳型が奉納されている
境内には乳のような瘤のあるサクラの巨木がある

医王寺薬師堂の薬師如来は、乳の祈願仏として薬師さんと親しまれ、乳がよく出るといわれていた。昭和20年(1945)ごろには、香川県や岐阜県からもお参りする人があったという話が関南部地区まちづくり協議会サイトにある。
亀山市立歴史博物館作成のデジタル資料『亀山市史』には、新潟県や岐阜県からも来たこと、白い木綿の布に綿を入れて乳の形に作り、それに住所、名前、年齢を書いて供えたこと、世話をしている常福寺でおさがりの白米をもらってご飯に混ぜて食べると乳がよく出ると言われたという話がある。
薬師如来坐像は、高さ43cm、胎内仏があるとの伝承があるという(『関町の仏像』)。
福徳地区は市街地からかなり離れた山里の集落だが、薬師堂はそこからさらに山道を登っていったところ。このような場所に遠くから祈願に来ていたのかと驚くような場所である。福徳山醫王寺という石碑が山道脇にあり、その脇に見逃してしまいそうな石段がある。これが恐ろしいくらい急で細いのだが、登って行ったところが薬師堂。薬師堂は2016年に改築されてこぢんまりとした建物になっているが、奉納されたユニークな形の乳型がお堂の前に多数下げられている。またどこにも情報がないが、境内には乳を思わせる瘤がある見事なサクラの巨木があって、いかにも祈願の対象になっていた雰囲気。祈願の状況を知っている人が存命の間に聞きとり調査をしたいものである(2022年2月訪問)。

関町教育委員会:関町の仏像、2004年、p37、p57
関南部地区まちづくり協議会サイトhttps://sekinanbutiku.wordpress.com/福徳の歴史
亀山市立歴史博物館サイト「亀山市史民俗編」
https://kameyamarekihaku.jp/sisi/MinzokuHP/jirei/bunrui9/data9-1/index9_1_10.htm
写真:奥 起久子撮影(2022/2/7)

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