乳信仰探訪

正面の格子には涎掛けがびっしりと結びつけられている
立体乳型絵馬としては珍しく大きな絵馬で、大小さまざまな木製の乳形が18個付けられている
奥には錦を纏った石地蔵が祀られている

天皇神社(和邇中146)の北西にある小さな地蔵堂に、乳の祈願、乳守りの地蔵尊が安置されているとサイト「大津のかんきょう宝箱」にある。『近江の絵馬』には、乳を授けてくれるお地蔵さまとして有名という記載がある。堂内に掛けられている絵馬2幅は、いずれも木製の乳を取り付けたもので、乳の信仰に特化した場所であることがうかがわれる。
これは立体乳型絵馬としては珍しく大きな絵馬で、2面ある。片方は縦43cm、横89cm、木製のお椀を伏せたような大きな乳形が2個ついているもの、もう一面は縦41.5cm、横124.5cmの大きさで、大小さまざまな木製の乳形が18個付けられている。
正面の格子には涎掛けがびっしりと結びつけられ、奥には錦を纏った石地蔵が祀られている。
元は天皇神社境内にあったが、明治の神仏分離により境外の現在地に移されたという。地蔵堂正面に掛けられている鰐口には、延宝8年(1680)に奉納したという銘「奉寄進薬師堂鰐口江州和迩北浜村井口弥右衛門 延宝八庚申九月吉日 天下一出羽大掾宗味作」があり、古い歴史を物語っている。

滋賀県教育委員会:中近世古道調査8 西近江路、2005年、p86〜87
大津市歴史博物館:近江の絵馬、大津市歴史博物館、1991年、p38、73
サイト「大津のかんきょう宝箱」
http://www5.city.otsu.shiga.jp/kankyou/content.asp?key=0406000000&skey=89
写真:奥 起久子撮影(2022/11/27)
資料提供:大津市教育委員会文化財保護課

カテゴリー

内容

県名検索