乳信仰探訪

河内の乳岩

乳岩入り口:今はルートが失われているそうだ(『多賀町の石灰洞』より)
洞窟内に2つの大きな鍾乳石が垂れていた(『多賀町の自然を探る』より)

鈴鹿山脈北部には多賀町を中心として多くの石灰岩の洞窟群があることで知られる。その中の一つ、河内の乳岩に乳の祈願が行われたという話が『多賀町の石灰洞』『多賀町史』に書かれている。
『多賀町の石灰洞』には、洞内の中央部に乳房を思わせる2つの鍾乳石が下がっており、この岩を撫でると乳が出るといわれたとある。『多賀町史』には、母親たちがエチガ谷を遡ってお参りしたこと、最近までお参りされていたようだという情報がある。
乳岩の洞窟は深さ11mのごく小規模なものであるが、近くには県の天然記念物に指定され、一部が観光洞窟として公開されている河内風穴がある。総延長10kmという日本で4番目の長さで、中に大ホールや複数の水中洞窟があるとのこと。
多賀町立博物館からの情報によると、河内風穴関係者への聞き取りでは、乳岩に乳の祈願が行われたという情報は伝わっていないとのこと。現地に行くルートも失われていて、容易には訪れることができないという(2025年12月)。水島明夫氏からの情報では、エチガ沢の水は乳岩辺りから河内風穴に流れ込んでいるので、河内風穴から上流のエチガ沢は乳岩辺りまで涸沢で、以前は山道が残っており20分程度で到達したそうだ。

多賀町教育委員会:多賀町の自然を探る 第一集、1978年、p18〜19(乳の祈願の情報なし)
水島明夫:多賀町の石灰洞、多賀町、1989年、p69
多賀町史編さん委員会:多賀町史 上巻、多賀町、1991年、p90 https://dl.ndl.go.jp/pid/13133243/1/66
写真:『多賀町の石灰洞』『多賀町の自然を探る』より
資料提供:水島明夫氏(日本洞窟学会)、多賀町立博物館

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