乳信仰探訪

上板並 諏訪神社の乳銀杏

薄暗い杉林の中で黄色いイチョウの葉が音もなく降り敷いていた
黄色いイチョウが山の中の神社の場所を示しており、大きさがわかる
多数のチチが下がっている

樹高33m*、幹囲6.9m*、推定樹齢300年以上*で市指定天然記念物。橋を渡って山を少し登った所にイチョウがある。山の中で案内版もないので地元の人に場所を聞いた方がよい。周囲はあまり手入れされていない杉林で薄暗く、おどろおどろしい雰囲気。
イチョウには「乳銀杏」の名のとおり、数多くのチチが下がっている。このチチを削って煎じて飲むと乳がよく出るようになるといわれ、地域の人たちは神社を「乳宮さま」と呼んで、遠くからもお参りに来る人がいたと『伊吹町むかし話』に書かれている。
戦国武将の武田信玄の乳母がこの地の出身で、信州の諏訪神社から分神されて創建されたという。信玄が亡くなったあとここに帰ってきた乳母がお手植えしたイチョウとの伝承がある。あるいは武田家が滅びた時、家来が武田家に縁のある観音さまを持ってきてここに納めた(『伊吹町むかし話』)、あるいは戦乱に追われ姫を連れてここに落ち延びてきた乳母がイチョウに乳を祈願したところ、木からチチが垂れてきて姫が無事に育った(『伊吹町の民話』)、という話もあるようだ。
ここは神社という名前で呼ばれており、むかしは馬具や槍が納められていた建造物があったとのことだが、火災で失われたとのことで、今は小さい祠が立っているだけである。
*1991年環境庁データベース

伊吹町教育委員会:伊吹町昔ばなし、伊吹町、1980年、p39〜41
伊吹山ろく口承文芸学術調査団:伊吹町の民話、和泉書院、1983年、p109〜110
ブログ「巨樹と花のページ」http://www.tree-flower.jp/25/suwa-jinja_chichi_1189/suwa_jinja_icho.html
写真:奥 起久子撮影(2022/11/27)
資料提供:米原市教育委員会

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