乳信仰探訪

伊井のちち地蔵

林の中にポツンと立っている地蔵堂
中の石地蔵には可愛い柄の涎掛けがかけられている
手前に流れる谷水が美味しく、飲むとよいお乳が出ると言われた「お釈迦水」

箱館山(はこだてやま)の麓、伊井の集落から山に入り、家や舗装された道が途絶えて山道になる辺り、清水が流れる沢のほとりにお堂が建っている。
『葦海(いかい)の足音』に、この沢の水は枯れることがなく質がよいため「お釈迦水」ともいわれ、お盆には精霊にお供えをしたりして、大切に守られてきたという。
戦国時代の天正年間に織田信長がこの地を焼き払った時に、僧慈元がこの水を常用するとよいお乳が出ると教え「おちち地蔵」が祀られたという言い伝えがある。霊験あらたかで、下記のようなご詠歌があるとのこと。
「流れくる お釈迦の水の ちち地蔵 深き恵みを さづけ給ひき」
地元の関係者からの情報では、現在伊井集落のひとつの班が管理していて、その班の人たちはこの水を利用することができるそうだ。昔この場所は引尾(ひきお)と呼ばれていた地区なので、「引尾地蔵」ともいわれていたとのこと。山仕事に向かう際の作業道の端にあるので、行き交う人たちが安全を祈願し手を合わせていたという(内岡が2023年11月訪問)。

今津町教育委員会:葦海(いかい)の足音、サンブライト出版、1980年、p56〜57
写真:内岡 恵撮影(2023/11/1)

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