乳信仰探訪

以前長内村にあった乳岩神社で、朝来中の田口神社に移されたもの
田口神社は古い歴史があり、指定文化財となっている

旧長内(ながうち)村*の山中には鍾乳岩(石)が乳首を連ねている乳岩という場所があり、滴り落ちる水滴を飲むと乳が授けられるとのことで、長内の乳岩さんと親しまれてお参りの人が絶えることがなかったという話が『舞鶴の民話』『朝来村史』にある。
さらに古い『加佐郡誌』に、「乳の岩といふは如何なる故あるや明に知らざれども、女の乳乏しき者此岩に祈願を篭めれば極て験ありといふ」との記載があるとのこと。
もとの乳岩のそばにあった乳岩神社は、昭和14年(1939)に長内集落が集団移転となった時に舞鶴市朝来の田口神社に移設され、境内社の乳岩神社となっている(『朝来村史』、サイト「丹後の地名」)。
田口神社は今は無人だが、白鳳3年(653)に起源があるという古い歴史があり、江戸時代の本殿・拝殿、室町時代の石灯籠や周囲一帯の社叢が指定文化財。地域の人々によって管理され、毎年お祭が盛大に行われる。
*長内は現在の国立舞鶴工業高等専門学校の敷地の谷の最奥でもともとは村地であった。昭和14年海軍第三火薬廠の敷地として全戸(6戸)が強制的立ち退きとなり廃村となったという。

荒木信次郎:朝来村史、荒木信次郎、1944年、p46、49、54、90〜91、124〜125
https://dl.ndl.go.jp/pid/1042166/1/44  https://dl.ndl.go.jp/pid/1042166/1/62
https://dl.ndl.go.jp/pid/1042166/1/79
足立 正:舞鶴の民話 第2集、舞鶴文芸発行、1989年、p 38〜40
サイト「丹後の地名」https://tangonotimei.com/doc/tango/nagauti.html#google_vignette
サイト「丹後の地名」https://tangonotimei.com/doc/tango/tagutijj.html
写真:奥 起久子撮影(2021/07/23)
資料提供:舞鶴市郷土資料館

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