乳信仰探訪

福知山市 永明寺

墓の中で生まれていたと伝わる大極禅師が開山したという永明寺
赤子を抱いた幽霊の襖絵が現存する

永明寺(ようめいじ)は別名「乳授け寺」と言われ、幽霊が飴を買ってきて子育てしたという伝説がある、と牧地区に貼られている案内ポスターに記載されている。
『天田郡志資料』には、次のような話がある。「永明寺は昔からお乳の出る祈祷をして下さる。600年ほど前、薩摩の鹿児島近くの福唱寺で、亡くなった母親が幽霊となってお乳の代わりの飴を買いに来たことから、お墓の中で生まれていた赤子が助けられた。その赤子は長じて大極禅師という偉い僧となってここに永明寺を開山した」という。永明寺の須弥壇の後ろには、赤子を抱いた幽霊の襖絵が現存する。
永明寺は山号を光泰山という曹洞宗の寺院。文正元年(1466)に上記の丹波円通寺の大極和尚が、如意輪観音像を本尊として創建したと伝えられる。
飴買い幽霊の伝承があり、かつ乳の祈願の伝承が伝わっている場所は、ここ以外では、福岡市安国寺の飴買い幽霊の墓、石川県輪島市の総持寺祖院の乳もらい地蔵、計3か所の情報が得られている。

山口加米之助:天田郡志資料 上巻、淑徳同窓會発行、1936年、p613〜617
https://dl.ndl.go.jp/pid/1223079/1/341
サイト「丹後の伝説」https://tangonotimei.com/bunkn10.html
写真:奥 起久子撮影(2021/07/22)

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