綾部市の郊外の閑静な場所にある佛南寺境内に、聖観世音菩薩を祀る観音堂がある。元禄年間に建設されたといわれ、元は佛南寺とは少し離れた場所にある善住寺という尼寺にあった。伝によれば「聖徳太子の念持仏として鳥佛子(師)一刀三礼の彫刻鐫(せん)する所にして開帳佛なり」とある。善住寺廃寺に伴い平成9年(1997)に今の場所に移転され、綾部西国観音霊場の第七番札所とのこと。
乳の祈願については、母乳湧出の願いが叶う「聖観世音菩薩」が祀られており、遠くからお参りに見える方もあります、と「綾部の文化財を守る会」からの情報にある(「あやべの文化財日誌β版」)。綾部市資料館からの情報では、記載された資料はないとのこと。
佛南寺は山号を阿日山という現在臨済宗妙心寺派の寺院。平安時代の初期の歴史書である三代実録(858~887)には既に記載されているという古い歴史の寺院。当初は七堂伽藍をもつ地方屈指の巨刹だったそうだが、室町末期には荒廃。万治年間に再興されたものの火災で焼失、元禄年間に再築という変遷を経た。現在は地域の人達が協力して管理し、行事も企画している。平安時代の虚空蔵菩薩木像、大日如来木像が市指定文化財となっている。
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写真:奥 起久子撮影(2021/07/23)


