乳信仰探訪

住宅街の一角にあるが、大変古い歴史を持つ
石の祠の中に祀られている

乳垂(ままたれ)地蔵は住宅街の中の小さな敷地内にあり、乳(まま)かけ地蔵ともいう。飛鳥時代に遡って、推古天皇がこの地蔵に使いを送って7日7晩祈願したところ、乳母の乳がよく出るようになったという伝承が知られている。
元は大きな伽藍で葛下川(かつげがわ)対岸の城山(今の片岡城址)にあったが、永禄2年(1559年)松永久秀の片岡城攻めの際に焼き払われ、小さな草庵としてこの場所に移されたこと、「畠田の乳垂地蔵 乳の下さる地蔵さま」という古い諺があることが「乳垂地蔵縁起」として現地の案内版に書かれている。
『新訂王寺町史』には松永弾正久秀に焼き討ちにあった元の寺院は香塔寺といったこと、境内の乳垂地蔵が乳の祈願で霊験あらたかだったこと、女性が30日参内するといわれていたこと、ここだけが焼き討ちを免れたという話がある。
以前はそばにあったヤナギの木に搾った乳をかけて祈願していたそうで、多くの人が参拝して、木の周囲は真っ白だったという話が王寺町公式サイトにある。これが乳(まま)かけ地蔵といわれた理由という。このような場合に考えられる「乳預け祈願」に関する情報は入手できていない。

王寺町史編集委員会:新訂王寺町史 本文編、王寺町、2000年、494〜495、587〜590
王寺町公式サイトhttps://www.town.oji.nara.jp/kakuka/chiikiseibi/chiikikoryu/ojicyorekishishiryoshitsu/ojibunkazai/139.html
ブログ「エナガ先生の講義メモ」http://blog.livedoor.jp/myacyouen-hitorigoto/archives/48870754.html
サイト「ええ古都ならー奈良の魅力発見」http://www.nantokanko.jp/midokoro/1558.html
写真:内岡 恵撮影(2023/5/16)

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