世界遺産になった葛城一言主神社(かつらぎのひとことぬし)の境内にある。樹高25m*、目通り幹周3.85m*、推定樹齢1200年**とされ、奈良県の保護樹木指定。幹は下よりも上の方が太くなっており、幹周3.85mという数字よりもはるかに大きな印象がある。少し斜めに傾いてきており、多数のチチが下がっていて凄味がある。
「乳銀杏」「宿り木」と呼ばれるご神木で、しめ縄がかけられている。祈願すると子どもが授かり、お乳がよく出ると伝えられていると、神社が立てた現地案内板と公式サイトにある。『大和馬見町史』には「乳戴かしておくんなはれ」とイチョウの木の皮か何かをもらってくるという地元の女性の話が載っている。
葛城一言主神社は非常に古い神社で、祭神は葛城之一言主大神(かつらぎのひとことぬしのおおかみ)と21代の雄略天皇である幼武尊(わかたけるのみこと)。『古事記』や『日本書紀』には、狩りに興じていた雄略天皇が葛城山中で葛城之一言主神と遭遇して渡り合う話が出てくるそうだが、葛城之一言主大神はさまざまな事柄を一言でいい放つ権威のある神で、地元では「いちごんさん」と呼ばれて崇拝されている。境内に土蜘蛛の塚もある。
*1991年環境庁データベース、**神社が立てた現地案内板
池田末則:大和馬見町史、馬見町教育委員会、1955年、p520
神戸新聞出版センター:京阪神ご利益ガイド、神戸新聞出版センター、1985年、p251〜252
御所おはなしの会:御所のむかしむかし、御所おはなしの会、2009年、p139〜149
葛城一言主神社公式サイト https://www.hitokotonushi.or.jp/visit.html
ブログ「奈良のご利益さん」http://www.goriyaku.kotomeguri.com/nara/spot/g_tree/goshingi.html
ブログ「巨樹と花のページ」 http://www.tree-flower.jp/29/hitokotonushi/hitokotonushi_jinja_icho.htm
写真:安原肇氏提供(奈良県在住、新生児科医、IBCLC)(2022/12/30撮影)、奥 起久子撮影(2024/7/13)