以前薬師山に3体の地蔵があり、笛吹の村や近隣の人たちが乳の祈願のためにお参りしたという話が、笛吹神社の古老の話として『葛城の行事と暮らし』にある。祈願のためには、揉み錐(木の先に針が付いた錐)の新しいのを2本買ってきて半紙に巻いて水引掛けてお供えをしたという。この場所は開墾され、その際に3体とも別の場所に移されたが、うち2体が現存していると写真が掲載されている。
この写真にある2体の地蔵は、笛吹神社(葛木座火雷神社)鳥居近くの道路脇にある。新しい前掛けがかけられてお供物が供えられており、近所の方が管理して綺麗にしている。
奈良県薬剤師会サイトにある乳の祈願情報に、近鉄忍海駅から徒歩2キロの笛吹の入り口の森の中に薬師如来・地蔵があり、「授乳に霊験あらたか、参拝する人密かに多し」とある。情報が類似しているので、同じものかもしれない。
葛城市民話編集委員会:葛城の行事と暮らし、葛城市立図書館、2008年、p56
奈良県薬剤師会サイト http://www.narayaku.or.jp/narayaku/nara_info_tem13.html
写真:奥 起久子撮影(2024/7/13)