乳信仰探訪

静かな住宅地の中に西方寺薬師堂がある
境内には小さい石仏がずらっと並んでいる

下市町の静かな住宅地の一角にある。薬師如来がご本尊で、とくに安産・授乳の仏として女性の参詣が多いと『大和下市史』に記載がある。『近畿の民間療法』には、講の時に持ち帰った蝋燭をつけると燃え尽きるまでに分娩が終わる、とくに乳がよく出ると書かれている。
西方寺の創立年次は不明だが、薬師堂は寄棟瓦葺で天保12年(1841)正月の建立。木造薬師如来坐像は室町時代の作とされている。真言宗の寺院だったが無住となり、講の構成員10名で管理しているとのこと。
境内には石造千手観音を祀る小堂があり、その案内板には南和新三十三ヶ所霊場第12番岩間山正方寺と記載されている。
下市町にはなんと46の寺院があるが、そのうち薬師如来がご本尊である西方寺と日光寺の2ヶ所のほか、ご本尊が阿弥陀如来である丹生寺と大乗寺の門前の薬師堂と計4体ある薬師如来全てに、乳の祈願が行われたという話が伝わっている。

下市町史編纂委員会:大和下市史、下市町教育委員会、1958年、p495〜496、p669
写真:奥 起久子撮影(2024/1/16)

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