乳信仰探訪

地元の旧家の敷地内にあり昔から祀っているという
石積みの窟内に素朴なお地蔵さんのような石像が収められている

田戸(たど)はここの地名で、山村の集落である。山裾斜面の大きなカシの木の元に、石積みの窟内におさめられている。高さ30cmほどの素朴な地蔵さんのような石像で、田戸を開いた人と伝わっているとのこと。昔は乳の出を願う女性がこの神さまに頼めば出るようになるといってよくお参りに来たという話が『下北山村史』にある。
現在カシの木は伐採され、根元が残るのみ。地元の旧家で祀っているもので、何代か前の先祖が建てたものと伝わっているとのこと。新しい榊とお水がお供えされているが、今は他からお参りに来る人はいないそうだ(2024年10月取材)。
この家の敷地には、お告げがあって掘ったところ土中から出てきたという刀を祀ったツルギ様という立派な祠もある。寛永16年(1639)という墓碑があるとのことで、関ヶ原の戦いの後くらいにはすでにこの地に住んでいたという旧家である。

木村博一:下北山村史、下北山村役場、1973年、p883
https://dl.ndl.go.jp/pid/9572722/1/466
写真:奥 起久子撮影(2024/10/11)
取材協力:下北山村歴史民俗資料館

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