乳信仰探訪

大きなチチが非常にたくさん下がっているのは見事
イチョウのチチに触れた手で乳房を撫でると伝わっているという
寺院脇に大きく枝を広げている

光泉寺境内にある大イチョウで、樹高28m*、幹周6.1m*、推定樹齢400年**といわれて、町指定天然記念物。チチが大変発達していて長いものは3mにも達している。
『和歌山の伝説』に、江戸時代に医師 日下俊斉(くさかしゅんさい)が村人を説得してこのイチョウが切り倒されるのを防いだという逸話の後に、イチョウから垂れてきた乳房のようなコブを銀杏のチチと呼び、このイチョウの木を拝めば乳が出ると言い伝えられて、この木を「子育てイチョウ」と呼ぶようになったという話が記載されており、テレビ「まんが日本昔ばなし」でも同様の話が放映された。
近所に住む高齢女性の話では、子授け・安産・乳の祈願のご利益があるとのことで、乳の出のためにはチチを撫でた手で自分の胸を撫でるとよいと聞いているとのこと(2024年10月取材)。
一方、お寺の現地案内板には「阿弥陀如来公孫樹明堂」にお参りすれば子授けのご利益とあるほか、古座川町観光協会のサイトなど多くの記事には、子授けのみについて述べられていて、乳授けの情報がない。古座川町教育委員会への照会でも、子授け以外の情報はないとの回答があった(2021年)。
『牟婁口碑集(むきこうひしゅう)』が元資料ともいうが、『牟婁口碑集』を見てみるとこちらは安産のみで、乳授けも子授けも記載されていない***。
*1991年環境庁データベースより **光泉寺のパンフレットより ***雑賀貞次郎: 牟婁口碑集、郷土研究社、1927年、p88〜89  https://dl.ndl.go.jp/pid/12169968/1/57

和歌山県小学校教育研究会国語部会:和歌山の伝説、日本標準、1979年、p58〜62
まんが日本昔ばなし「No.1098子育てイチョウ」1989年03月25日放映 http://nihon.syoukoukai.com/modules/stories/index.php?lid=1098
ブログ「生石高原の麓から」https://oishikogennofumotokara.hatenablog.com/entry/2021/01/29/162502
写真:奥 起久子撮影(2024/10/11)
情報提供:古座川町教育委員会

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